涙空
がらり、やっと着いた教室のドアを開けた。
予想に反して、いつも通りの賑やかなクラスメート。
「あ、佳奈。おはよう」
「…おはよう」
「もう体調は大丈夫?」
「あ、うん」
なら良かった、そう言って笑うクラスメート達。
不安が溶けて無くなっていく。…良かった。誰もなにも聞いてこようとはしない。それが一番、私からすればありがたいことだった。
だけど、…ちらりと視線を向ける。
違った。…やっぱり不安はある。
「……怜香」
ぽつりと、その名前を口にする。ぴくりと上下した彼女の両肩。
その強張る表情を見て、不安が増えていく。
「……佳奈」
か細い声だった。