涙空

後悔先に立たず




――――――…


どくん、どくん。


心拍が上がっていく。
目の前にあるリアルが、受け入れることが出来ない。




「……嘘」

「…今、電話が入ったんだよ。…最近、ここら辺で結構あったでしょ、轢き逃げ事件。…由奈ちゃん、それに巻き込まれて…、」




お母さんは、あたしに言いながら、涙で薄い膜をつくった瞳をしていた。

泣いてる。それはわかった、けど。




「…さっき、病院で亡くなったって」




理解出来ない。

目を見開く。待って、お母さん。なんて言った?




…佳奈の母親が、事故に遭って、――――亡くなった?



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