涙空
「…嘘でしょ」
「…明後日、お葬式があるって。…身内だけでやるらしいけど…」
お母さんが言う。
涙で濡れた頬を拭おうとはせず、震える声で冷静を保っていた。
以前から、あたしは周りに「いつも冷静だよね」そう言われているのは、母親譲りの性格だったからかもしれない。
……でも今は、冷静じゃいられない。
「ちょっと待ってよ、嘘でしょ?…佳奈のお母さんが、…亡くなった?」
「…出血多量だったんですって。…怜香、混乱するのもわかるけど、一番辛いのは佳奈ちゃんだから、…怜香が勇気付けてあげなさいね」
「、」
お母さんの瞳から、ぽたりと涙がこぼれ落ちた。
「…佳奈ちゃんが、一番辛いんだよ」
「っ、」