涙空





***


ざわざわと、いつも通りの賑やかな教室で、

ひとり、俯いて溜息を吐き出した。周りのクラスメートは騒がしい。



「おはよう、怜香」友人に言われて「おはよう」と咄嗟にかえした。

佳奈が学校を休み初めて一週間ほど経った。…当たり前だ。

そんな簡単な問題じゃない。…【まだ】一週間しか経ってない、…そう言うべきかもしれない。


一週間なんて、傷を癒すのには短すぎる。

佳奈のことだから、そろそろ学校に顔を出すかもしれないけど、あたしに笑ってくれるだろうか。



そんなことを考えていたあたしの耳に届いた、がらり、と教室の扉が開く音。




「…佳奈」




小さく呟いた。
彼女にはきっと届いていないだろうが。




がたんと席を立つ。

…まずあたしがしなくちゃいけないのは、彼女に謝ることだ。



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