涙空
涙に濡れた音
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二人並んで、賑やかな教室からドアをくぐり抜けて静かな廊下に出た。
そのまま誰もいない空教室に入って行った怜香に着いていく。
使われていない荷物置場になっている教室は、とても静かだった。
足を踏み入れてから怜香を見て、息を呑んだ。
「…怜香?」
「…、」
それはもう苦しそうに、唇を噛み締めて顔を歪めていた。
名前を呼ぶも、呼びかけに対しての返答はない。
すると、俯きがちになっていた怜香が顔を上げたかと思えば、
静かに、口をついた。
「ごめん」
ぽつり。呟いた怜香はまた俯く。
「…え?」