涙空

涙に濡れた音






***


二人並んで、賑やかな教室からドアをくぐり抜けて静かな廊下に出た。

そのまま誰もいない空教室に入って行った怜香に着いていく。



使われていない荷物置場になっている教室は、とても静かだった。

足を踏み入れてから怜香を見て、息を呑んだ。




「…怜香?」

「…、」




それはもう苦しそうに、唇を噛み締めて顔を歪めていた。

名前を呼ぶも、呼びかけに対しての返答はない。




すると、俯きがちになっていた怜香が顔を上げたかと思えば、

静かに、口をついた。




「ごめん」




ぽつり。呟いた怜香はまた俯く。




「…え?」



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