涙空
中学二年の最初の方で、今と同じように担任と対談したとき。
そのときはまだ自分の進路について深く考えていなかったから、
『自分の家から近い学校ならなんでもいいです』
『やりたいことは、今はまだ考えてないです』
担任にはそんなふうに答えていた。
「いろいろあって考える余裕もあまりなかったかもしれないけどな。野崎は野崎なりの考えがあるんじゃないか?」
「…あの」
その【いろいろ】というのは、言うところの家庭…【お母さん】のこととか、私の精神状態のことを指してるんだと思う。
考えは、ある。
絶対に進みたい、なんて強い意思ではないけど、
興味はある。その道を進んでも良いのかは、すごく迷ってる、けど。
「…あの、…私」