涙空



「…だから、怜香は自分を責めてるんだよ」

「…」

「もう良いのに。ああやって私に言ったことをまだ後悔してる」




怜香は責任感が強い。だから少しのミスだったとしても、酷く自分を責める。

もういいよって、私はもういいからって思ってるのに。


怜香はまだ、自分自身を許せないでいる。

ずっと、自分自身に刃を向けて生きてる。

そんなの辛いのに決まってるのに。苦しいだけなのに。




「…電車、もう時間過ぎてるよね」




話してる内に、随分時間が経ってしまったようだった。


空に黒が混ざっていく。

郁也に視線を送った。



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