涙空

結果論と少女





***


「…郁也に話したよ」




ぽつりと呟いた。


「は?」隣にいた怜香が私の方へ視線を向ける。

その顔に一滴こぼれ落ちた疑問の色。意味がわからないと言っているようだった。




「昨日、全部話した」

「…全部って、…親のこと、話したの?」

「うん」




昼休みはいつもは使わない中庭に二人で足を運んだ。

中庭はいつにも増して静かだった。話をするのには丁度いい。


ぶわっと風が吹いた。突然の強い風だったけど涼しくはない。どちらかと言うと生温い風だった。

それに合わせるように、ざわざわと草木が揺れ動き騒ぎ出した。この音は嫌いじゃない。


怜香は驚いたように目を見開いていた。



「…藤崎に、全部話したの」

「…話したよ」



< 353 / 418 >

この作品をシェア

pagetop