涙空
結果論と少女
***
「…郁也に話したよ」
ぽつりと呟いた。
「は?」隣にいた怜香が私の方へ視線を向ける。
その顔に一滴こぼれ落ちた疑問の色。意味がわからないと言っているようだった。
「昨日、全部話した」
「…全部って、…親のこと、話したの?」
「うん」
昼休みはいつもは使わない中庭に二人で足を運んだ。
中庭はいつにも増して静かだった。話をするのには丁度いい。
ぶわっと風が吹いた。突然の強い風だったけど涼しくはない。どちらかと言うと生温い風だった。
それに合わせるように、ざわざわと草木が揺れ動き騒ぎ出した。この音は嫌いじゃない。
怜香は驚いたように目を見開いていた。
「…藤崎に、全部話したの」
「…話したよ」