涙空
ぐしゃりとプリントを握り締める。
これは本当困る。でも勉強しなきゃいけないのはわかってる。
「じゃあホームルームは終わりだ。気をつけて帰れよ」
うちのクラスの担任ってなんでこうもゆるっゆるなんだろうか。
いや、ゆるっゆるっていうか適当っていうか…。掴めないわ。
もう帰っていい、そう言われれば皆口々に遊びに行こう、だとかこのあとどうしようか、だのと会話に花を咲かせてる。
私も帰ろうと机の横に引っかけられた鞄に手を伸ばした、ときだった。
「…あと、野崎はこのあと残れ」
「…はい?」
思わず手を伸ばしたままの体制で担任に視線を向けた。
はい?
担任は相変わらずの表情のまま、さっきまで使っていた資料片手に私を呼んだ。
「…え」
「佳奈、なんかやらかしたの?」
「え?…いや、…私そんな問題児ではなかった気が…」
するんだけど…。
私のところまで歩み寄ってきた怜香に返した。
ちょっと待って。私別に悪い方向には走ってないよ先生。
私どちらかと言えば良い生徒だった気がします。…します、けど…。