涙空
スーパーまでの道のりを交番に聞きに行くことなら簡単だけど。私でも出来るけど。
だけど怜香はともかく、郁也に教われと?郁也にですか?
「…郁也に教わって赤点取ったら後が怖い」
「じゃあ取らなきゃいいだろ」
「いや、そういうわけにもいかないじゃないですか!第一、私めっちゃ容量悪いんですよ…!だから郁也がどれだけ時間を費やしてくれても出来ないというか何と言うか、駄目なんですよ…!」
必死になって担任に言ってみる。
これは全部事実だった。私は頗る容量が悪いのは郁也も知ってるだろうけど、…だから頭脳明晰の郁也がいくら説明してくれても結果に繋がらないというわけで。
郁也に無駄な時間を費やさせてしまうのは、いけないと思う。この前も費やした時間返せって言われたし。
「…どうしよう」
教室の中で、不安の篭った溜息を漏らした私。
そんな私をさっきから黙って見ていた担任が、口を開いた。
「…まあ方法はあるけどな」
「え?」