涙空



「え?」




言われた言葉に頭を両手で抑えたまま見上げる。

「野崎ってアホなの?」そんな私を見ながら夏樹君が一言。



アホ?

まあ確かに否定も出来ない―――…




「って、おい。アホっておい」

「だっておま…自分からこの状況つくっといてそれはないだろ…」

「すみませんね」




確かに私が悪いけど。だからって「アホなの?」はない。それはないよ夏樹君。

ってこらこらこら。なに溜息ついてんの。溜息つきたいのは私の方なんだけどちょっと。




「なに睨んでんだよ」

「なに溜息ついてんの」

「だって野崎がさあ…。はああああ」

「目茶苦茶カンに障る溜息つかないでくれますか!?」

「あ、悪い悪い」

「反省してないよね!まっっったく!」




郁也の相談するより夏樹君が相談しにいくべきだよね。自分の性格を。

私が言えたことじゃないけどね。




「で?」

「…え?」

「郁也だよ、郁也。なにが気になるの」

「…」


< 391 / 418 >

この作品をシェア

pagetop