涙空



「なに?」




私の反応がよほど面白かったのか、けらけらと笑いながら私に聞く。

なにをそんなに笑えるのかが不思議だ。わからない。




「…夏樹君からすると、私ってどういう存在?」

「…ごめん。俺野崎は無理だわ」

「夏樹君どんだけ頭の中残念なの。誰も告白なんてしてないんだけど」

「あ、違う?まじで?…あー、よかった。俺まじかと思った」

「冗談でも告白してないけど私」




夏樹君って頭の中が残念過ぎる。どうすれば私の言葉が告白に聞こえるのだろうか。

勘違いも甚だしい。やめてください。




「なんでいきなり?」

「いや、前から気になってたんだけどさ」

「…友達?」

「私に聞かないでよ」




私質問した側だから。呆れて返せば、またけらけら笑い声。




「野崎面白いな」

「え、顔が?」

「お前結構なネガティブ体質だなオイ。確かに顔も面白いけど」

「夏樹君は少し【礼儀】っていうのを覚えた方がいいよ」




心からお勧めしますが。

ていうか今すぐ辞書で引いてみて欲しい。それですこしは私が傷付く発言と行動を控えて欲しい。切実に。




「…つーか、話戻すけどさ。…郁也は進路のこととかそういうの、野崎に【話したくない】んじゃなくて、【話せない】んだよ」


< 394 / 418 >

この作品をシェア

pagetop