涙空
排斥したい。だけどこうも時間が経ってしまうと溝は深くなる一方だ。
抜け出せない。やり直しの効かないこの世界で、今この瞬間も過ぎていく一瞬一秒。
惜しいとは思わないが、あの時に戻ることが出来るのなら、なにかが変わっていたのだろうかと淡い期待は抱く。
…それらすべて無駄にしかならないのはわかっている。
いや、もしかしたら。
自分の理想に限りなく近い環境に放り込まれたとしても。
俺自身がそれを喜ばしいことだとは絶対に思わない。絶対的な予測はたてられる。
「……」
気になるか。
佳奈が俺の過去を気にかけてる。
自分の目前に潜む、そんな現実。…どうすればいいのかわからない。
話すにも話せない。
だからといって、相手の不安を募らせていいわけがない。
自分の手から、するりと抜け出していくのも時間の問題かもしれないな。
…どちらにしても、答えは自分だけにしか出すことが出来ない。
歯痒いこの現実に、苛立ちばかりが募っていくようだった。