涙空




言われた生徒も教室を出てき、室内には自分と担任だけになった。




「…なんすか」




言われることはある程度わかってはいる。

ただこの担任はあまり好いていない。……合わない。自分の思考からすれば何もかもが。

早く帰りたい一心で小さく話しかけた。




「おいおいおいおい。そんなに嫌そうに言うなよー。お前頭がいいんだから察しがつくだろうよ」

「…」

「白紙で提出したろ。進路希望」




ほらな。予想通りだ。


白紙で提出したのは結構前。今更過ぎる内容を嘲笑うように返す。




「だからなんすか」




目線は合わせない。

担任はけらけらと笑う。




「お前、入学当初と変わんねえなあ。あん時からそんな顔してたよ」

「…そうですか」

「ああ。なにもかも詰まらないって、他の入学してきてワクワクしてる生徒と対照的だったな。お前、全然楽しそうにしてないから」




…そんなの自分の勝手だろ。そう言いたいのを抑える。


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