涙空
憂鬱から逃避行
***
「死ね」
「始めて早々死ねはないですよね」
「お前もういいよ。どっか行って。ついでに煙草買ってきて」
「教師が生徒になんてこと言ってんでしょうね」
いつものように放課後になって担任との数学の補習。
出だしから躓いてしまった私に一言。「死ね」とか言ってきたこの担任。
駄目でしょ。世間じゃ自殺問題が騒がれてる今そんなワードぶっ放しちゃ駄目でしょあんた。
「ていうか未成年じゃ煙草買えないですよ」
「大丈夫だよ。お前なら買えるよ」
「先生捕まりますよ」
それと私も警察にお世話になることになるよね。直ちにお断りします。丁重に。丁重にね。
一週間も補習を受けてるというのに、この頭の回転の悪さ。頭のネジ錆び付いてんじゃないかな。
流石に困る。まだ錆び付かないで欲しい。
「…私なりに頑張ってるんですけど」
「なんでわかんないの。つーかなんでお前高校入学できたの」
「そこから?」
え、そこまで話が戻るんですか。
我ながら受験生のときは頑張った方なんだけど。塾に通ったり学校の補習受けたりとかさ。