涙空
溜息をこぼす。「ごめんごめん」適当に謝罪を入れて来る父親が、部屋の扉の前に立っていた。
「年頃の娘の部屋をノック無しで開けるのはないね」
「年頃っていうのはもっと大人びた子が使う言葉なんだよ、佳奈」
「おい。高校生だわ。私ぴちぴちの高校生だわ」
「年頃っていうのはね、ほら、…怜香ちゃんみたいな」
「怜香も私と同じ高校生ですけど!?」
ていうかなに?大人のタイプって皆して怜香に集中してるわけ。
私は子供だって言いたいの?そうなの?
「お父さん、なにしに来たの」
「ん?ああ、明日の弁当は俺が作るから、佳奈は作らなくて良いよって言いに来た」
「え、私の分お父さんが作るの?」
「あれは食べられないだろ」
「今日も食べた私への厭味ですかね?」