涙空



溜息をこぼす。「ごめんごめん」適当に謝罪を入れて来る父親が、部屋の扉の前に立っていた。




「年頃の娘の部屋をノック無しで開けるのはないね」

「年頃っていうのはもっと大人びた子が使う言葉なんだよ、佳奈」

「おい。高校生だわ。私ぴちぴちの高校生だわ」

「年頃っていうのはね、ほら、…怜香ちゃんみたいな」

「怜香も私と同じ高校生ですけど!?」




ていうかなに?大人のタイプって皆して怜香に集中してるわけ。

私は子供だって言いたいの?そうなの?




「お父さん、なにしに来たの」

「ん?ああ、明日の弁当は俺が作るから、佳奈は作らなくて良いよって言いに来た」

「え、私の分お父さんが作るの?」

「あれは食べられないだろ」

「今日も食べた私への厭味ですかね?」



< 46 / 418 >

この作品をシェア

pagetop