涙空
「深い意味はないんだけどさ。なんとなく、私と夏樹君ってどんな関係上にあるのかと思って」
「あたし、夏樹と二人きりにはなるべくなりたくない」
「それ彼女の台詞?」
「だって」
はあ、怜香が溜息を吐き出した。そういえば、今日の怜香はいつもより疲れが溜まってるようにも見える。
「夏樹君と昨日なにかありました?」
「…夏樹、腕力が恐ろしいほどに強いのよ」
「もうすこしわかりやすく」
「…昨日、夏樹の家に行ったの。ちょっとした用事でね」
「…はあ」
話に耳を傾けながら相槌を打つ。