涙空



「…郁也、そんなこと絶対しないからなあ」

「藤崎がそんなことするならあたしは砂糖を吐き出す自信あるけどね」

「似合わないもんね」




郁也に甘さを求めたらいけない。これ名言にしようかな。

意外な夏樹君の一面を知って、すこしばかり優越感。




「…郁也は知ってんのかな。夏樹君がそういう人だってことは」

「さあね。あたしはどっちでもいいわ。…それよりさ、ねえ佳奈、夏樹に言ってよ。束縛しすぎると捨てられますよって」

「それで夏樹君に泣きつかれたら私が困るから遠慮します」

「じゃあ藤崎でも良い。頼んで」

「…聞いてみるよ」




にしても夏樹君と怜香は上手くいってるみたいだね。この前も順調だとは言ってたけどさ。

それにどこか安心しながらも、郁也の方をちらりと覗き見た。



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