涙空
思わず苦笑い。優しいけど、優しいけども。
流石に"限度"ってものがあるんだよ、お父さん。
「まあ良かったじゃん。良いお父さんで」
「そう思うことにする」
ぱくり、次はハンバーグを口に運んだ。…これもまた美味しくて、
自分が女に生まれてきたことが哀しくなった。哀しい。
「…美味しく綺麗に作れるように、頑張るよ、怜香」
「…何年かかるかが問題だけどね」
「え、そんな?そんなかかりそう?」
「かかりそう」
ええ…。がくりとうなだれる。頑張ろう、どうせなら怜香が驚くくらいになりたい。
そう思いながら視線を隣に滑らせれば。
「…お互い、やりたいことやれば良いよ」
「やりたいこと?」
「やりたいこと」
そう怜香が言った。…やりたいこと、か。
「じゃあ私は夏樹君のこと郁也に言ってみるよ」
「頑張って」