涙空



「なに、二人してあたしの話?」

「うわあ…、なんでこのタイミングで登場するかな」

「なにその顔」




そう言いながら「いだだだだだ!」私の頬をつねった怜香。

痛、ちょ、痛い痛い。
ぱっと離された指先。思わず頬に指を運んだ。




「…怜香、数学何点だった?」



痛い、絶対赤くなってるだろうな。思いながら怜香に問い掛ける。

怜香はさらっとなんてことない顔をしながら答えた。




「93点」

「ほら言ったろ。間宮のが取ってた」

「…きゅうじゅうさんてん?…ええ!怜香なんで今回点数よかったの!?いや、いつもよかったけども!」

「夏樹が教えてくれたから」

「……」




思わず返答が出来なくなる。ああ、夏樹君か。



―――夏樹というのは、怜香の彼氏だ。



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