涙空
▼感情制限
――――――…
「野崎、束縛して欲しいのかよ」
「そんなこと一言も言ってませんが」
顔を顰た郁也に一言。なに勘違いしてるの。
ていうか私の話聞いてたのかな、郁也は。
「だからね、夏樹君は束縛魔なんだって」
「それ野崎が俺に束縛してくれって言ってるように聞こえる」
「言ってないです。…怜香が困ってたんだよ」
「間宮が?夏樹に束縛されて?」
「…らしいよ」
夏樹君のことを、郁也は『夏樹』と呼ぶ。
私のことは苗字なのに。…っていかんいかん。なにを考えてるんだ私は。