涙空



「幸せな近状報告だね」

「…え」




あ、あれ?思わず落としていた視線を郁也へ向けるべく、上げた。

予想に反して、郁也は足を止めずにそう、いつも通りといえばいつも通りの相槌を打っただけだった。




「…なに?」

「あ、…いや、…なんでも、ないですよ」

「電車嫌だよな」

「え?ああ、そうだね」




そう返せば、いつも通りの郁也が、いつも通りの表情で隣を歩いていた。


…なに期待してたんだろう、私は。



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