涙空
がたん、ごとん。
揺れる電車の中で、二人で並んで腰を下ろした。
…期待していた自分が恥ずかしくて、いつもより少しだけ俯きがちになっていた。
「…野崎」
「なんでしょう」
「夏樹のこと好きになった?」
「はい?」
ぱっと顔を上げる。
「やっぱり顔上げた」
「は、え、は?」
「いや、なんとなく顔上げるかと思った。なに?好きになった?」
「いやいやいや、夏樹君は無いよね」
「でも夏樹のことは気になったわけだ」
「…話したことそんな無いから、気になったんですよ」
深い意味は、ない。