涙空
「へえ。それで野崎は俺に抱きしめて欲しいわけだ」
「まあ願望なんですけどね。相手が相手ですからね」
「へえ。そんな願望持ってたんだ」
「まあ少しは。…………………………今の聞いてました?郁也…さん」
「隣にいたからな」
「気付いてた?もしかして気付いてたの!?」
思わず言ってしまった言葉。顔に熱が集まるのが自分でもわかった。
最悪最悪最悪最悪!知ってたんじゃん!知ってたんじゃん郁也!
「ちょ、超恥ずかしいんだけど…!」
「抱きしめて欲しかったんだ。野崎は」
「違う!いや違くはないんだけど、…ち、違うんだよ!」