涙空
そういえば夏樹君見てないな。どこ行ったんだろう。
そう思いながらも視線は一直線に自分の親友に向かっている。
彼氏に勉強教わって結果がついてくるとか、なんて羨ましいんだろう。
「…良いですね。彼氏さんに教えてもらえて」
思わず厭味ったらしく怜香に言った。すると呆れたような怜香の返事。
「いや、あんたも同類でしょ。藤崎に教わったんじゃないの?」
「郁也さんは頭が良すぎてついていけませんでした」
「野崎、それ今俺に言わないで」
「ごめん。まじでなんの呪文かと思うくらい半分は聞いてなかった」
「費やした俺の時間返して。迅速に」
「まじですいませんでした」