涙空
白濁に埋もれたもの
「…それ結構な進展じゃん。ていうかなんで顔真っ赤なの?」
「いろいろあったから」
昼休みになって、教室の中、机上に突っ伏す私に怜香が疑問を投げかけてくる。
ああ、未だに顔真っ赤なのか。そう思った。
「…郁也が怖いです」
「なにが?」
目線だけを怜香に向けてみる。怜香は私から視線をするりと外すと、
つんつん、弁当箱に入った卵焼きを箸で突いた。
それを目で追いながらようやく机上から頭を離して弁当箱を取り出した。
「佳奈、さっきなにがあったの。藤崎と」
「……郁也が壊れてた」
「ああ、はい。藤崎に抱きしめられたんだ」
「えええ…、よくわかったね!?」