涙空
「あたしは自分じゃ作らないけどさ」
また、箸で中身を突いた怜香。私も箸で自身の昼食を突く。
…うわ、やっぱり焦げてる。口に放り込んだ卵焼きは砂糖を入れたにも関わらず、苦みの方が濃かった。
じわりじわり、味が舌先から口内に広がる。
「苦そう」
「…苦いよ。食べる?」
「今苦いって言われたのに、それ聞いて食べる気にはならないよね」
「だよね」
料理、上手くなりたい。自分の不器用さへの恥ずかしさはもうとっくの昔に消えたけど。
そんな私を見て、怜香が言った。