涙空
「…いつからだっけ。佳奈が自分で作るようになったの」
「……」
いつになく静かに呟いた怜香に、視線を向ける。
自分で作るようになった…、か。脳裏で復唱しながら、答える。
『佳奈は不器用だから、料理は苦手かもね』
『…佳奈はいつも笑ってるからね』
声が、脳裏で響く。
「…中学生のとき、…中二のときからだよ」
「…そっか」
それまでは自分ではなかった。学校で食べる昼食を作るのは。
だけど中学二年になって自分で作るように、なった。
生活が一変した。