涙空
「なんですか悪い意味って。今の数学の成績だと私が行きたい大学には入れないって言いたいんですね。わかります」
「わかってんのかよ。十分だわ。十分に察してるわお前」
「じゃあ話終わりですよね。帰ります」
言いながら、勝手にがたんと席を立つ。
「待て待て待て待て」そう言うと、立ち上がった私の手首を掴んでストップの合図を出す先生。
「ちょ、触んないでくださいよ」
「お前本当むかつくな。大丈夫だ安心しろ。お前みてえなガキには興味ないから。俺はどっちかって言うとあれだな。お前みたいな喚くのより間宮みてえな大人しいのがタイプだわ」
「あなたのタイプ傾向なんぞ知ったこっちゃないんですけど」
「まず座れ」
「……」
なんで帰してくれないかな。溜息を漏らしながら座り直す。
「溜息つきたいのは俺の方だけどな」
「わかってますよ、今のままだと進路に響くことくらい」
「…お前、幼稚園教諭、目指してんだろ?」
「……」