涙空
そう言うと、また目前の彼は私を視界の中心に映す。
怜香みたいな子がタイプねえ。いや、確かに怜香は美人だし大人しいけどさ。
「怜香、彼氏いますよ」
「間宮"みたいな"って言っただろ。間宮本人に興味はねえよ。あと話ずらそうとすんな」
「してますん」
「すんってなんだお前。ずらす気あったんじゃねえか」
放課後の校庭からは、野球部のボールを打つ金属音と、吹奏楽部の演奏が聞こえてくる。
それに耳を傾ける暇も、先生はつくらない。
「…なんでお前は幼稚園教諭になりたいんだ?」
「……え」
「…なんでそこまでしてなりたいんだ?他の職業でもいいじゃねえか」
「こ、子供が好きだからですよ」
ぽつり、言い返した言葉は弱すぎた。ひ弱な声を出した私に、
先生は頬杖をついたまま口を開いた。