恋が生まれる瞬間
もう一度鳴瀬君の方へ振り返ると、無表情で立っている。


「鳴瀬君……」


「ほら、遅れるぞ」



シッシと手で払われる。
でも、なんとなくそのまま帰れない。





うん?帰りたくない……?



キーというブレーキの音で、電車が止まったのだと分かる。




急がなくちゃ…

頭では分かっているのに、体が動くのを拒んでいる。



そのまま、どうすることもできない私を見て「まったく、お前は」と手を引き改札の横を通る鳴瀬君。
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