恋が生まれる瞬間
あの日、自分がなぜ帰るのを躊躇ったのか、しばらくは悶々としていたけれど、体育祭の興奮で少し舞い上がっていたという結論で落ち着いた。




「じゃあ、怪我と事故に気をつけて有意義な夏休みを過ごすように」


先生の話が終わり、クラスの子が一斉にガタガタと席を立ち帰り始める。





「里香、今日真由とランチするんだけど、一緒にいかない?」

「うん、いいよ。」



体育祭の最中になぜか微妙な距離になっていた杏子ちゃんとは、体育祭が終わるとまた、以前の距離感に戻っていた。


きっと、気のせいだったんだろう。
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