恋が生まれる瞬間
だけど、もし私ではなく、部長が走っていたら――




まるで何かの呪文のように頭の中はそれしかなかった。




それから、走ることも、友達と話すこともまともにできず、夏は終わった。






部活を引退した後、自分から陸上部の仲間と距離を持った。

最初は声をかけてくれた仲間たちも、徐々に私の態度に、遠ざかって行った。






私は一人、私を誰も知らない場所へ行きたかった。
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