恋が生まれる瞬間
暫く沈黙が流れた。
車内には、他の高校生の楽しそうな話声がする。







「鳴瀬君は、走るのが好きなんだね」

「まぁ、走ってる時が一番楽かな?」




一番楽か…

鳴瀬君が見たのは、陸上を楽しんでた頃の私で、今の私じゃない。




今の私は……

陸上から逃げ出して、何か他の物を見つけようと努力もしてない。





そのくせ、鳴瀬君とを杏子ちゃんが仲いいことを羨ましがって、妬んで…


今、鳴瀬君が隣にいる私が、こんなに汚い感情を持った人間だと言うことを知ったらどんなふうに思うだろう。
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