恋が生まれる瞬間
私は、話を聞こえちゃ悪いと思って、ボーット窓の外に目を向ける。

と言っても、この暗さで街灯が仄かに見える程度なんだけど。





パチンと携帯が閉じられる音で、会話が終わったのだと分かった。




そして、早めに一人で帰れることを伝えようと鳴瀬君の顔を見た瞬間


「もう駅に着いたって。待たせるのがちょっと厄介だけど」




「えっ?誰が?」


「あー、アニキ。学校あっちの方だからさっき電話したら、バイトの終わる時間がちょうどいいタイミングで、駅で拾ってくれるって」
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