恋が生まれる瞬間
「えっ!外さなくってもいいよ。別に変じゃないよ」




慌てる私を完全に無視してさっさと外した鳴瀬君は、「じゃあ、お前にあげる」とポンと私の右手にイルカを乗せた。




「えっ!いいよ。だって悪いじゃん」



慌てて返す私の手を掴んで「いいの。どうせまた新しいの付けさせられるから」と今度はギュッと握らせた。







「……ありがとう」

「どういたしまして」





自分の携帯につけたイルカは、車内の電気に反射してキラキラ光っている。
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