恋が生まれる瞬間
「鳴瀬君…あの、今日はありがとう」
「ほら、玄関入るまで見ててやるから早く入んな」
クルリと回れ右され、ポンと背中を押されて、玄関の前まで一歩出る。
背中から「じゃあな」と鳴瀬君の声がする。
首だけ振り返ると「バイバイ」と手を振ってくれた。
私も、「バイバイ」と手を振って、一気に玄関まで歩いた。
扉をあけた瞬間、もう一度振り返って見ると、困ったような顔で、少し首を傾けてこっちを見てる鳴瀬君
――どうしてそんな顔するの?