恋が生まれる瞬間
校舎内は、朝の登校時間のせいもあって、ガヤガヤと騒々しかった。

下駄箱に着くと、そこに私を待っていたように杏子ちゃんが立っていた。




「お…おはよ…杏子ちゃん」

「……もういいの?」



杏子ちゃんは、ぎこちなく笑う私とは対照的に、顔の筋肉をピクリとも動かさず無表情のまま、私を見つめる。


「………」



「っちょっと、杏子!里香病み上がりなんだから」

「そうそう、早く行こ?」



真由ちゃんと南ちゃんは、私達二人の間の不穏な空気を察してか、私達二人の間に壁を作るように立ちはだかる。
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