恋が生まれる瞬間
通勤・通学時間より少し早めの駅は、雪かきされていなくて、ホームにもたくさん積もっていた。
私たちは、ホームの一番端の、雪が積もっていないところに並んで立っている。
さっき鳴瀬君に二つももらったカイロを、両手に握りしめていても、足元からジンジンと冷えてくる。
寒さでカチカチと歯が鳴りだしそう。
「戸田?顔固まってる。寒いから?それとも緊張してるの?」
顔を覗きこむその目は、少し意地悪そうに細められている