恋が生まれる瞬間
「ありがとう」

「どういたしまして」



朝のキーンと冷えた空気をいっぱい吸い込んだ。






「戸田、今日の試験はさ、あんまり緊張しないで受けてこいよ。俺、待っててやるから」



「えっ?」


「お前、この半年随分頑張ったじゃん?滑り止めも全部受かってるし。だから、大丈夫」




「大丈夫」って鳴瀬君が言ってくれると、本当に大丈夫って気がするけど、それは、全然違っていて、

センター試験が、もの凄い緊張から頭が真っ白になってしまった私は、その結果も惨憺たるもので、第1志望の大学は、ほぼ可能性が残っていなかった。
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