無理矢理☆キッス



しばらく私達はなにも言わず、


ずっと抱きしめあっていた。



これだけでも好きって気持ちが伝わってくる。






「石川………リュウ…」




ふいに横から聞こえた声。



「あっ……櫻井くん……!!」


そうだ………


私、自分のことだけに必死になって……


ちゃんと言わなくちゃ。


私の気持ち……



「あの、櫻井くん……」

「言わなくていいよ」


櫻井くんは私の口を、人差し指をたてて封じた。


「今のふたりみてたら……適わないことくらいわかってるよ」


「櫻井くん……」


「それに……さっきは強引にして、ごめんな?」



私はとてつもなく悲しい気持ちになった。


櫻井くんのそんな悲しそうに笑った顔、

初めてみたよ……


櫻井くんはチラリとリュウをみた。



「頑張ったけど…やっぱりリュウにはかなわないか」


「櫻井………」


櫻井くんはふーっとため息をついた。



そして、




「幸せになんなきゃぶっ飛ばす」





びしっと私達を指差してそう言った。
< 255 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop