無理矢理☆キッス
この声は……
リュウの声だ………
振り向かなくても分かる
。
リュウには何回も名前を呼ばれたことがあるから。
どくん……
この間のことを鮮明に思い出して不安な気持ちになった。
「っ………!」
私はそのまま無視して走り出そうとした。
でもっ………
「ごめん………」
リュウのこの言葉で一瞬にして足が止まってしまった。
ごめん……って……?
「この間は無理矢理キスしてごめん。」
私はリュウのほうにふり向いた。
リュウはそのまま言葉をつづける。
「本当……オマエに言われたとおりだった。好きなやつとしかキスなんてしたくないよな………。」
はじめて見たリュウの真剣な顔。
目はまっすぐ向いていて、
その目を私はとてもきれいだと思った。
「ごめん……許してくれなくてもいい。ただオレの言葉、ぜんぶ聞いてくれ………。」
リュウ…………
どうしよう……?
こういうときなんて言えばいいの?
不思議と私の心の中に怒りという感情は消えていた。