花火が消えるまでに
…ーチンッ
「あ、」
「お、おはよう」
エレベーターが開くとちょうど中にいる部長と視線がぶつかった
その瞬間どきりと心臓が跳ねた
今日もきっちりと黒いスーツに身を包み、紺のネクタイをきゅっと締めてある
それに優しい笑顔…
思わず見惚れてしまって私は挨拶するのを忘れてしまった
「おはようございます~」
「なんだ、眠そうだな」
「いえいえ、そんなことないですよ~」
佳菜子は固まっている私に気づかず先にエレベーターへと乗り込んだ
「ん?望?」
「あ、ごめんなさいっ」
我に帰った私は慌ててエレベーターへと乗り込む
そんな姿を部長は笑った
「大丈夫か?お前も寝不足なのか?」
「い、いえ…大丈夫です」
…部長がかっこよすぎるせいですって言えるわけないよね…
エレベーターが目的地に着くと3人とも降りて行った
部長と会えるのなんてなかなかない…
「ごめん、佳菜子先行ってて?」
「ん?はいよー」
佳菜子はちらっと私を見て、それから右手を軽く挙げて振りながら部屋へと入って行った
少し先を歩いている部長を小走りで追いかけた
「ぶ、部長!」
「ん?」
部長がゆっくりと振り返り、私と視線が交わる
「なんだ、どうかしたか?」
「あ、あの…これ」
私は紙袋を部長に渡した
部長は首を傾げて中を確認するとまたクスリと笑った