夏のオモイデ~打ち上げ花火~【短編】
「…いた!!」
私たちからほんの1メートル先に、裕太と2人で座って空を見上げていた。裕太は私を探すようにキョロキョロと頭を動かしていた。
『―――――1!!』
「………涼!!」
カウントダウンと同時に涼を呼んだ。
―――ヒュー…
花火が上がる。
その瞬間、涼が私を見た
「……茜?」
――――ドン…!!
オープニングの花火が夜空に開花した。観客の声と花火の音が上がっても私には涼の、私を呼ぶ声しか聞こえなかった。
花火の光で涼の顔が一瞬明るくなる。
……涼。涼だ……。