夏のオモイデ~打ち上げ花火~【短編】
「茜!いいの?」
歩き出した私の手をつかみ囁く彩花。
私は彩花の目を見てうなずいた。
「また会えるかわからないから、私からサヨナラしたかったんだ。涼からサヨナラされると、なんだか、もう 会えない気がして。これで最後かもしれないから、スッキリさせたかったの。」
涼と会っていた時は、いつも涼からサヨナラを切り出していた。
少しでも長く、涼といたくて涼に会わせていた。
でも、前みたいな待っているだけの私はいない。
自分から歩き出せる人になりたかった。