夢でいいから~25歳差の物語
Secret14 現実と感情の矛盾~Side皐示~
気付くと病院のベッドで寝ていた。


あれ?


俺は今まで何をしていたんだろう。


「先生!良かった。もう心配したんですよ」


目の前にどこかで見たことがあるようなないような、20代前半くらいの女性がいた。


この人は誰?


とりあえず微笑を浮かべたが、やはりわからないのでこう言ってみた。


「どうもご心配おかけ致しました。ところであなたは、どちら様でいらっしゃいましたっけ?」


すると女性の顔つきが、さっと曇った。


「わ、私のことを覚えていないんですか?」


その声は震えている。


悪いことを言ってしまっただろうか。


「すみません」


そう謝る。


「では、わたしは?」


凛とした声が響いた。


見ると女性の後ろにもう1人の女性がいた。


30代後半くらいだろうか。


先ほどの女性と目元など、全体的に顔立ちが似ている。


親子だろうか。


しかし、この女性もまた覚えていない。


「いえ、わかりません…」


我ながら情けない声が出てしまった。


「とりあえず…せ、医師を呼んできます」


最初の女性の傷ついたような顔。


悪いことをしてしまっただろうか。


しかし、本当に覚えていない。


俺と彼女達は一体どういう関係なのだろう。
< 102 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop