夢でいいから~25歳差の物語
しかも、おかしなことに彼女達のこと以外は思い出せる。


俺の名前は青山皐示。


48歳、A型だ。


高校で生物を教えている。


家族は父親と母親。


そして1人の兄貴はカウントしていいのかわからない。


そういえば今日のこともあいまいだ。


鏡の前でタキシードを着た俺が微笑んでいて。


誰だろう、誰かに花言葉を教えてやっていた気がする。


その後、階段のところで「青山さん」と俺を呼ぶ声がして振り向いた瞬間、衝撃が走って「あっ」と思った時には足が地についていなかった。


ちょうどその時、鐘の音が辺りを包んでいた。


そして頭に猛烈な痛みが走り、気を失ってしまった。


気付いたらここにいた。


どういうことだ?


まさか…記憶喪失ってやつか?


俺は初めての経験に戸惑っていた。


そして、俺を戸惑わせたことがもう1つ。


それに気付いたのは彼女達から自己紹介と、今までの話を聞いた時だった。


ちなみに20代前半の女性が俺の妻だという青山流星、30代後半だと思った女性が水橋睡蓮という名前らしい。


話を聞いて、俺がやはり思い出せないと言った時、睡蓮さんがこう言った。


「まぁ、急ぐ必要はありません。ゆっくり思い出していけばいいと思いますよ」


その花が咲くような笑顔に、俺は不覚にも胸の奥が熱くなってしまった。


そして気付いた。


俺が睡蓮さんに淡い想いを抱いているということに…。
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