夢でいいから~25歳差の物語
Secret16 追懐
「はぁ…」
私はため息をつきながら気晴らしに屋上に行った。
いつもなら何人か人がいるのだが、珍しいことに今日は誰も見当たらない。
視界にはグレーに滲んだ空が広がっている。
建物の群れのグレーと重なってなんだかもの寂しい色の世界だった。
だから鮮明だった。
振り向くと、ベンチの隣に立った青の上着に白のロングスカートという服装の女性が目に入ったのが。
嫌な予感がして私はその人に近寄った。
「母さん!」
「?!」
母はぼんやりしていたらしく、驚いた顔でこちらを見る。
「ああ、流星」
その声はひどく疲れているようであった。
「流星。わたしね、皐示さんのことを忘れられないの」
「…」
こんな鬱々とした母、私の知っている母じゃない。
「母さん、どうしちゃったのよ。おかしいよ」
「好きなの」
「え?」
「わたし、皐示さんが好きなのよ。きっと、死にでもしない限り直らない。死なない限りあなたの邪魔になってしまう」
それを聞いて私の頭の中に鮮明に映るのは、先ほど見た母を抱きしめる先生。
しかしその直後、私は首を横に強く振る。
「なんてこと言うの。冗談でもそんなこと言うもんじゃないでしょ!!」
私はいつになく母を怒鳴りつけた。
「なんで娘の前で死ぬとか邪魔とか言えるの?誰も言ってないじゃん!」
「そうね」
「だったら…」
「ねぇ」
首を振る私を遮るように母が強く言う。
その顔は恐怖すら感じた。
私はため息をつきながら気晴らしに屋上に行った。
いつもなら何人か人がいるのだが、珍しいことに今日は誰も見当たらない。
視界にはグレーに滲んだ空が広がっている。
建物の群れのグレーと重なってなんだかもの寂しい色の世界だった。
だから鮮明だった。
振り向くと、ベンチの隣に立った青の上着に白のロングスカートという服装の女性が目に入ったのが。
嫌な予感がして私はその人に近寄った。
「母さん!」
「?!」
母はぼんやりしていたらしく、驚いた顔でこちらを見る。
「ああ、流星」
その声はひどく疲れているようであった。
「流星。わたしね、皐示さんのことを忘れられないの」
「…」
こんな鬱々とした母、私の知っている母じゃない。
「母さん、どうしちゃったのよ。おかしいよ」
「好きなの」
「え?」
「わたし、皐示さんが好きなのよ。きっと、死にでもしない限り直らない。死なない限りあなたの邪魔になってしまう」
それを聞いて私の頭の中に鮮明に映るのは、先ほど見た母を抱きしめる先生。
しかしその直後、私は首を横に強く振る。
「なんてこと言うの。冗談でもそんなこと言うもんじゃないでしょ!!」
私はいつになく母を怒鳴りつけた。
「なんで娘の前で死ぬとか邪魔とか言えるの?誰も言ってないじゃん!」
「そうね」
「だったら…」
「ねぇ」
首を振る私を遮るように母が強く言う。
その顔は恐怖すら感じた。