夢でいいから~25歳差の物語
五稜郭タワー。


高さ107m。


塔体の断面は五稜郭にちなんで星形、展望台は五角形になっている。


1964年12月に五稜郭築城100周年を記念して60mの旧タワーが建設されたが、2006年6月に解体されてしまった。


そして今、目の前の新タワーが2004年に着工され2006年3月に竣工、同年4月1日にオープンした。


…と、先生が言っている。


私達の関係が生徒と教師だった頃から、先生の知識の豊富さには驚いていたが今、それを再び思い知らされた。


「えーっと、大人が840円?わりとするなぁ」


思わずケチくさい独り言がもれる。


それはあまり気にしないで、とりあえずエレベーターに乗った。


ドアが閉まると、だんだん中が暗くなっていく。


取り付けられたブラックライトが映えるほど暗くなると、壁に複数の偉人(誰かはよくわからなかったが多分新撰組)の像がすーっと浮かび上がった。


さらに、チケットにもぼんやりと模様が浮かんでいる。


「すごい」


修学旅行の時もこれにはびっくりした記憶がある。


右を見ると先生も若干楽しそうに壁を見ていた。


ブラックライトなので、彼の白いワイシャツが薄紫色になっている。


そんなちょっと楽しいエレベーターを降りると、目の前に広がるのは青空と建物の群れ。


「うわぁ」


私は都会暮らしを始めて5年ほど経つが、やはりその前に18年間田舎で過ごしてきたのでついそれが出てしまい、田舎者丸出しで窓に駆け寄った。


それはまるで吸い込まれるような景色だった。
< 117 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop