夢でいいから~25歳差の物語
「おお」


エレベーターを出てみると銅像があった。


「土方歳三像…か。これはいいなぁ」


そんなことを言いながら先生はまたデジカメのシャッターを切った。


よく見るとそのカメラの色はメタリックなシルバーで、CMでもよく流れているものだった。


それにしても、あのカメラ、本当にカッコいいなぁ。


まぁ、持ち主が持ち主なだけに余計ね。


ムフフフ。


「流星さん?」


気付くと、先生が怪訝そうな顔をしていた。


「何をニヤニヤしているんです?」


「いや、なんでも」


私は早口で答えて展望台からの景色をケータイにおさめた。


「あの」


窓の外を見ながら先生が言った。


「はい?」


「こんなこと、いきなり言うのも変ですが、永遠って何だと思います?」


「え、永遠!?」


先生、どうしたんだ?


まぁ、とりあえず答えようじゃないの。


「今…ですかね?」


「今?」


「私、先生といる今に永遠を感じています」


本当は感じているのではなく、先生と過ごす今が永遠に続いてほしいという願望なのだが。


「流星さん…」


「それにしても先生、なぜいきなり永遠という単語を?」


もしかして先生も、私と同じ願望が?


ちょっと期待する。


「あー、さっき近くにいた人のイヤホンから音楽がもれていたんです。それで聴いていた曲のタイトルが「永遠」だったもので」


「そうなんですかー」


…がっくし。


ちょっと残念。
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